ランドセルの70%がクラリーノ製(人工皮革)な理由|種類と特徴を解説

    「クラリーノって何?6年間大丈夫なの?」「牛革とどっちが良いの?」など気になりますよね。

    6年間使うものだから丈夫そうな本革にしようか…でもクラリーノは安くて軽いみたいだし…うーむ、悩む(汗)

    じつはパパママさん世代のランドセルと言えば「牛革」が主流でしたが、現在販売されているランドセルの約70%は「人工皮革クラリーノ」で作られています。

    このページでは「人工皮革とは?」から「クラリーノと牛革の比較、クラリーノの種類」まで誰でも簡単にわかるように徹底解説しています。

    最後まで読み終えて頂ければ、6年後まで満足できるランドセル選びができるようになります。

    この記事がお役に立てば幸いです。

    筆者プロフィールこの記事の筆者
    4児のママ兼ランドセルフィッターの「あや」です。
    お子様のからだへの負担が少ないランドセルの選び方や最新情報を発信しています。迷っている方、お悩み中の方は「フィッター厳選!ランドセル人気おすすめランキング」をぜひご活用ください。

    1. ランドセルの約70%が「クラリーノ製」

    ランドセルの70%がクラリーノ

    ランドセルに使われている素材(生地)は、大きく分けて次の2種類があります。

    • 天然皮革:牛革やコードバン(馬のお尻の革)
    • 人工皮革:天然皮革に限りなく近づけた人工的に作られた革

    そしてこの記事で解説する素材クラリーノは人工皮革になります。

    まずはランドセル選び初心者でも簡単にわかるように「人工皮革」や「クラリーノの種類」について整理していきましょう。

    1-1. クラリーノとは?

    クラリーノとは(株)クラレという会社が開発した人工皮革で、現在ランドセル素材の約70%に採用されています。

    シェアトップのヒミツは、もともと「革靴の代わりになる新素材」を目標に開発されただけあって、しなやかで柔らかいのに強度、耐久性が高いこと。

    クラリーノの構造

    上の写真を見てわかるように、合成皮革(PU、フェイクレザー)や塩ビレザー(PVCレザー)はスカスカですが、クラリーノは繊維がぎっしり詰まった天然皮革に近い構造になっています。

    合成皮革ランドセルに注意!
    人工皮革と間違われやすい素材に「合成皮革(PU)」がありますが、この2つはまったくの別物。
    合成皮革は中国製の激安ランドセルなどによく使われている素材ですが、耐久性が低く、安いソファのように表面がボロボロになったり、ちょっとした傷から裂けたりします。
    丁寧に扱っても1~2年くらいが限界(汗)

    1-2. クラリーノのメリットデメリット

    メリット

    • 軽い:クラリーノランドセルに比べ、牛革ランドセルは約200~300g重い
    • 安い:安定供給ができ、加工が比較的容易、裁断など製造過程のロスも少ない
    • 丈夫:本革に近い強度・耐久性があり、6年間の使用に耐える十分な実績もある
    • お手入れ簡単:濡れても拭くだけ、汚れたら硬くしぼった布で水拭き

    大手量産メーカーがメイン商品にクラリーノを採用しているのは、上記のメリットがお子様にとって優先であるというシンプルな考え方です。

    逆に「本物は本革ですよ、高級ですよ」と強調している某工房系は、子どもではなく親をターゲットにして商売してると言えますね(汗)

    お手入れ不要の本革ランドセルに注意!
    最近よく目にするメンテナンスフリーやお手入れ不要の牛革ランドセル。
    本革は生き物の革なので、いくら表面コーティングしていてもメンテナンスは必須です。
    綺麗な状態で6年間使いたいなら、濡れたらキチンと陰干し、月数回のクリームや汚れ落としをしないとボロボロになるので注意です。

    デメリット

    • 風合いは弱い:クラリーノと本革を並べたら、風合いは負けます(ただし大人目線でみたら)
    • エイジングはなし:どれだけ使い込んでも本革のような味や使い込み感は出ません

    クラリーノにも本革のような風合い加工をした素材があるのですが、どうしても本革にはかないません(涙)

    またエイジングに関しては皆無。経年劣化=中古感になってしまいます(汗)

    ただよく考えてほしいのは「お子様にとって何が大切か?」です。

    小学生に風合いやエイジングは必要でしょうか?実用的なのは本革よりクラリーノだと思います。

    1-3. クラリーノ以外にも人工皮革の製造会社はある

    • クラレ:クラリーノシリーズを5種類をベース多種(ほとんどのメーカーが採用)
    • 帝人コードレ:コードレ、タフガード、アーシックなど(羽倉、鞄工房山本、ニトリ)
    • FILWEL(旧カネボウ):ベルバイオ5(ララちゃんランドセル)
    • 東レ:エアヌール(ハネッセル)

    じつはクラリーノ以外の人工皮革にもクラリーノ同等の良い生地もありますが、採用しているランドセルメーカーは少なめ。

    人工皮革ランドセルの約8割がクラリーノを採用している背景には、一番安いベースグレードでも高性能なことや、質感・防水・耐傷耐久性など特徴を強化した種類が豊富なことがあげられます。

    またクラリーノの歴史は古く、1967年の発売から50年以上も実績を積み重ね、現在でも年々進化していることが信頼の高い素材と言えます。

    もしも気になるランドセルが他の人工皮革だった場合、クラリーノと比べて良いか?悪いか?判断すると分かりやすいかもしれません。

    2. クラリーノの種類は5つ

    クラリーノのには次の5種類があります。

     風合い軽さ耐傷特徴
    クラリーノ★★★★★★★★★★★★★★軽くて安い万能型
    クラリーノ エフ★★★★★★★★★★★★★風合いがアップ
    クラリーノ レミニカ★★★★★★★★★★★★★風合いと耐傷を両立
    クラリーノ タフロック★★★★★★★★★★★★★★★傷に強く、もっとも丈夫
    クラリーノ リピュート★★★★★★★★★★★★★★メタリック調加工で美しい

    それぞれ解説していきますね。

    2-1. クラリーノ

    クラリーノ(ベース)

    多少傷には弱いですが最軽量でお手入れ簡単な初代クラリーノ。このあと紹介する「クラリーノ〇〇」のベースとなる素材です。

    最新のモデルをバンバン出してるランドセルメーカーさんは「クラリーノ〇〇」を使ってますが、初代クラリーノもまだまだ現役バリバリ。

    なるべく安く抑えたいなぁとか、細かいことは気にせずとにかく6年間使えれば…という方におすすめ。

    2-2. クラリーノ エフ

    クラリーノ エフ

    ベースのクラリーノに牛革のしなやかさやシワの美しさをプラスし、耐傷性をアップさせた素材。

    さらにクラリーノエフを改良したり、ランドセルメーカーの依頼でオリジナル素材にすることで「エフ〇〇」というのもあります。

    • クラリーノ エフ2:表面のシボ感(シワ)抑えめのつや消しタイプ
    • クラリーノ エフ3:表面のシボ感(シワ)抑えめで、やや光沢強め
    • クラリーノ エフ「レインガードFα(エフアルファ)」:シボ感と艶が強め、プラス撥水加工
    • クラリーノ エフ「レインガードFx(エフエックス)」:艶抑えめで高級感あり、質感が高い、撥水加工

    「エフ2、エフ3」はフィットちゃん。「Fα、Fx」はセイバンのランドセルに使われています。

    2-3. クラリーノ レミニカ

    クラリーノ レミニカ

    光沢が強く、表面がキズに強いウレタン層になっているので、風合い・耐傷性が高い素材。

    男の子用だとシルバーやゴールド、カーボン調、女の子用はパール色のほとんどがレミニカパールです。

    2-4. クラリーノ タフロック

    クラリーノ タフロック

    名前から想像がつく通り、クラリーノ史上最強の素材。かなり強く爪でこすってもビクともしません。

    ヤンチャな男の子用に多く使われ、セイバンではさらに撥水効果とプラスした「タフロックペアレス」なんてのもあります。

    2-5. クラリーノ リピュート

    クラリーノ リピュート

    メタリック調の光沢でレミニカとは違った魅力。ただし柔らかめの素材のため耐傷性はベースのクラリーノ並み。

    2014年に登場した新しい素材なので今後のバージョンアップに期待大です。

    おまけ:クラリーノ ロベニカ

    クラリーノ ロベニカ

    ロベニカは背面部分の素材で、天然皮革に近い肌触りで通気性バツグン。しかも抗菌機能付き。

    背中や肩ベルト裏は柔らかく、裂けないムレない素材が適しているため牛革のブレスレザーがおすすめでしたが、ロベニカ登場でガラリと変わるかもしれません…。

    3. クラリーノだから安心ってわけじゃない

    この記事では「クラリーノいいよ、ランドセルに最適な素材はクラリーノですよ…」と解説してきましたが、クラリーノなら何でもいいってわけではありません。

    クラリーノはあくまで素材の話。どんなに良い素材を使っても構造がダメだったり、縫製がダメだったりしたらトータル面で良いランドセルとは言えませんよね。

    ということで、ここでは良いランドセルの見分け方を解説します。

    前提条件として、ランドセルは必ず実物をチェックすること。メーカーのホームページやカタログ、ネットの口コミだけで購入すると失敗の原因となります。

    今どきイオンなどのショッピングセンターには大手メーカーランドセルが複数展示されるので、まず興味がないメーカーでも次の方法でチェックして「こんなに違うんだ!?」って実感してみましょう。

    1. 軽く押して「型崩れ」しない?重要!
      ラン活チェックリスト01
      丈夫さ・頑丈さを比べるには、ランドセルを抱きかかえて少し力を加えてみよう。
    2. 内側に「金属」などがむき出しになっていない?
      ラン活チェックリスト02
      教材や指・爪が引っかかってケガしないかチェック。同時に底面を外して掃除できるかも確認しておこう。
    3. 肩ベルトや背あてなど「痛い」ところがない?
      ラン活チェックリスト03
      特にからだに直接触れる肩・腰・背中は要チェック。腕を振ったり、しゃがんだり、いろいろなポーズで試してみよう。
    4. 背あて・肩ベルトの「通気性・クッション性」は?重要!
      ラン活チェックリスト04
      小学生の通学時間(往復)の全国平均は47.3分。夏場の炎天下や、ランドセルの重量をカバーする快適性をチェック。
    5. 背中とランドセルに「すき間」はない?重要!
      ラン活チェックリスト05
      背中とランドセルの間にすき間ができる場合、軽く感じる効果はゼロだと思ってください。ベルト穴を調整して要確認。
    6. 正しい「姿勢」で背負えてる?
      ラン活チェックリスト06
      腰痛や猫背の原因にならないように、からだの線が傾いていないか、背中とランドセルの中心がそろっているかチェック。
    7. 動き回っても「ブレ」ない?
      ラン活チェックリスト07
      安定しないランドセルは重心もブレて負担増。前後左右やジャンプしてみても大丈夫かチェックしましょう。
    8. 「重り」を入れて背負ってみた?重要!
      ラン活チェックリスト08
      空っぽのランドセルを試着しても意味がありません。ペットボトルなど2Kgくらいの重りを入れて、教材が入った状況をシミュレーション。
    9. フックは「外れる」安全機能付き?
      ラン活チェックリスト09
      自転車・バイク・自動車・電車の扉…想像するだけで恐ろしい巻き込まれ事故、引きずられ事故は未然に防げます。
    10. 肩ベルトに「防犯ブザー」の取り付けはできる?
      ラン活チェックリスト10
      とっさの時に対応できるように、利き手と反対側の肩ベルトに。塾用バッグなどに付け替えるさいに、取り外しが簡単かなども確認しておこう。
    11. 前後左右に「反射材」がついてる?重要!
      ラン活チェックリスト11
      デザイン性優先で反射材が不足しているランドセルに注意。360度どの角度からでもドライバーにいち早く発見してもらおう。
    12. 「A4フラットファイル」に対応している?
      ラン活チェックリスト12
      いまどき主流のA4フラットファイル幅約23cm対応モデル。(A4クリアファイル対応モデルは、幅が狭くA4フラットが入らない場合あり)
    13. 錠前はお子様が「ロック」しやすいか?
      ラン活チェックリスト13
      錠前も各メーカー触ってみると違いがわかります。オートロック付きか、左右どちらにも回せるか、ケガ防止カバーは付いているか、などを確認。
    14. 「持ち手」ハンドルはついてる?
      ラン活チェックリスト14
      お子様は教室のロッカーにランドセルを入れるさい、持ち手がないとカブセを掴んでシワの原因に。大人にとっても持ち手ナシは不便です。
    15. 子どもが「主役」になってる?最重要!!
      ラン活チェックリスト15
      お子様にとってランドセルは小学生最初の大イベント。憧れていたお兄ちゃんお姉ちゃんになるための証でもあります。
      ぜひお子様の意見や個性を尊重して、お子様の成長を見守ってあげてくださいね。

    4. まとめ

    いかがでしたか?軽くて安い、丈夫でお手入れ簡単なクラリーノはお子様が6年間使うにあたり最適な素材です。

    ただしランドセルを構成する一部にすぎず、素材が良いだけでは良いランドセルとは言えないこともお分わかりいただけたと思います。

    昨今、教材の重量化で腰痛や猫背などの姿勢不良に悩むご家族も増えています。

    お子様の健康と成長を考えたランドセル選びで家族みんなが笑顔になりましょうね。

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